[其ノ一]株ファンダ編 「逆張り」が日本株の重しになっている | WEBネットマネー
米国市場が300ドル上がっても、日本市場は100円しか上がらないという現実。今の相場で大事なのは「需給」なのに、ちょっと下がったらすぐ買いにいくのがマズイのかもしれません!?
世界一儲からない、動かない国・ニッポン…
海外だけのせいじゃない
外国人投資家の間で、日本株について「どこの国より儲からない」という声が上がっているそうです。確かに、最近多いのが、日本株がほかの国より大きく動かないというケース。「NYダウが300ドル上げても、翌日の日経平均が100円しか上がらない」とか、「NYダウが250ドル下げたのに、翌日の日経平均は30円しか下げない」という具合ですね。いずれにせよ、このところの日本株の動きはかなり小さいのです。
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とはいえ、日経平均は震災直後の安値を割り込んでいます。欧州の債務問題、米国の景気減速、タイの洪水の影響など、外部環境は悪材料のオンパレード。仕方がないかもしれませんが、本当に海外の悪材料だけが弱い理由???
実際、それだけでは片づけられません。リーマン・ショック前(2008年初め)を100とした指数で、NYダウ、ドイツのDAX、日経平均を比較しましょう。ここまでに米国ではリーマン・ショックが、ドイツではギリシャ発の債務問題が起きました。にもかかわらず、現在のNYダウが約90、DAXが68、日経平均は「53」です。完全にパフォーマンスの悪い先進国なのです。
"未来ショック" daid
私は、日本の伝統的な投資スタイル「逆張り」がパフォーマンスを悪くしているのではないかと思います。「安いところで買って高く売る」、これは投資の基本ですが、少し下がると "安い" と買いを入れる投資家が多いのは日本特有の現象。東証が発表する投資部門別売買状況を見ても、日経平均が下がった週に外国人投資家が売り越しているのに対し、個人投資家が買い越しているのは毎度のこと。
個別株を逆張りする過程で積み上がってしまうのが信用取引の買い残(実は全体で見ると現物取引の買いより信用取引の買いのほうが基本的に大量なんです。)。緩やかな値動きで時間が経過し、結果的に狭い値幅の中で信用の買い残を積み上げた主力株の多いこと! 特に、個人投資家にもなじみのあるトヨタ自動車やメガバンクなどが典型例です。どの銘柄も、2011年8月中旬の下落局面から信用の買い残が急増。メガバンク3銘柄は、ほとんど同じ値動きです。みずほフィナンシャルグループは、信用倍率が一時20 倍を突破し、約8年ぶりに100円を割り込みました。
洪水痛みカトーバオハイオ州
下のグラフではメガバンク3銘柄に、あおぞら銀行の値動きも重ねてみました。強烈な上昇率です。世界的な金融不安で金融株が売られたといわれますが、あおぞら銀行は年初来高値を更新しています。信用倍率は一時0.2倍に低下。あおぞら銀行の推移を見る限り、海外のせいばかりにしてはいられません。
もちろんPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)もまったく機能していません。今の相場では「需給が一番大事」ということの証明です。そういう意味で、信用倍率が高い安値圏の株は最も避けるべきでしょう。
【爆笑マネー漫画株編】値下げで買いすぎてデブの巻
チョコ105円で安いと思い、100円でまとめ買いし、90円の叩き売りでさらに大量買いする秀吉。最後には太るし「このチョコいらない」となるし、散々なのですが、要するに日本の個人投資家は秀吉と同じことを繰り返しているのかも……。
【今月のファンダ師匠】岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト
大手証券会社に勤務後、金融情報会社フィスコでアナリストを務めたあと、独立。日経CNBCでキャスターもこなす。
日本株をこよなく愛する武将。工夫を凝らして日本株に投資するのが得意なはずだが、失敗続きで入塾。ひたすら考え込むのがたまにキズ。
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この記事は「WEBネットマネー2012年2月号」に掲載されたものです。
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