2012年4月13日金曜日

Kanazawa University Library



  金沢大学学術機関リポジトリKURAは,公開されてからすでに4年以上が経過し,登録された著作は2万件を突破しています。

  今回は,国際オープンアクセスウィーク2010に合わせ,歴代ダウンロードトップ20の著作から,数名の先生にインタビューを行ないました。

  第1回となる今回は,人間社会研究域経済学経営学系 准教授の小林信介先生です。

  先生の著作はこちら
小林信介,「満州移民送出における民衆動員の過程と背景 ~最大送出県・長野県を事例として~」,金沢大学大学院社会環境科学研究科博士論文,2005


ホーム納入食事シーダーフォールズ、アイオワ


◇ 論文の内容について教えてください。

  一言でいうと,1930年代の満州への農業移民についての研究です。これまでの定説では,大量の農業移民は貧困が原因というものでした。確かに当時は大不況で,長野県の主産業だった蚕糸業がアメリカ大恐慌の影響で打撃を受けています。農業不況の地域と送出元の地域も一致しているところが多いんです。ただ,一村一村の状況について調べてみると,必ずしも農業不況による移民ばかりは言えないことが分かりました。そこに何があったのかを研究した結果がこの論文です。
  研究を進めると,移民という国策を広める中心人物も浮かび上がってきましたし,また,青少年義勇軍の送出や二・四事件など経済以外の要因も絡んでいます。ただ貧困から逃れるためだけで移民していたわけではない,ということでした。

◇ この論文を書くきっかけは?


男性は4です。

  よく覚えてないなあ(笑)。なんでだろう。
  卒論は満州とは関係ないところで,満州を取り上げたのはマスターになってからですね。
  まあ,私の両親が満州出身で,小さいころから満州というものが身近にあったこと,さらに長野市出身なので,満州移民や中国残留孤児といった存在が近くにあったことが影響しているかもしれません。かと言って,長野市出身だったからこの研究をしたわけではありませんね。
  ただ,長野県出身で土地勘があったことは役に立ちました。

◇ アクセス元を見ると,一般の方と思われるものが多いですが,いかがでしょう?

  長野県で地域の方にも公開している勉強会があるのですが,普段は研究仲間やゼミ生などせいぜい十数人だったのが,「満州移民」の回だけ急に参加人数が増えました。「満州移民」は,長野県では関心の高い人が多いテーマではないでしょうか。そのことが反映したのだと思います。

◇ KURAで公開したことによる反響などは?


どのくらいの写真のレーダーユニットはコストか

  同じ専門の研究者には,学会などで会ったときに抜刷を渡しているんですが,KURAに登録されている論文については,「もう読んだからいいよ」と言われたことが数回あります。せっかく持っていったので,むりやり抜刷は渡してくるんですけど(笑)。
  また,全く面識のない方が,私の論文をKURAで読んで,関連資料を送ってくださいました。東京の高校か高専の司書の方だったと思います。

◇ 著作にまとめるまで公開したくない,という研究者もいますが,先生はどうお考えですか?

  私はまだまだこれからなので。
  将来まとめることになったとしても,現在の論文をそのまま載せることはまずないですね。修正その他がたくさん入ることになると思います。
  こうしてKURAに登録しておくと,まとめるまでの研究の過程を一覧できることにはなるでしょうか。

◇ ネットで論文が無料公開されることについては,いかがですか?


  大賛成です。まあ,お金を払って読んでもらうほどのものでもないですし(笑)。
書き手としては,見てもらってなんぼですから,無料公開に抵抗感は全くありません。従来の出版とどう折り合いをつけていくかが課題でしょうか。

◇ 最後に,機関リポジトリについてご意見がありましたらお願いします。

  ネットで論文を検索した場合,その論文だけが表示されるんですが,冊子だと前後に掲載されている論文も目に入ってきますよね。そんな風にして面白い論文を見つけたことがありましたが,データベース検索だと前後の重要論文を探せないということがあるとちょっと残念です。
  あと,リポジトリに登録すること自体は賛成ですが,やはり登録するのに手間がかかりますね。できれば負担が少なくなる登録方式を考えて欲しいです。

(インタビュー: 2010/10/19)



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